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海辺の墓地 ヴァレリー(1871―1945)

ヴアレリー


   海辺の墓地

  ヴァレリー(1871―1945)

美しい空、真実の空よ、見よ 変ってゆく俺を。
あれほどの驕慢の後、あれほどの不思議な、然し
力の溢れた放心の懶惰の後に、
この光り輝く空間に わが身を委ね、
死者の住む家々の上を わが影が横切って、弱々しいその足どりに 影は俺を順応させる。

おお おのれ孤の為、おのれ独りで、おのれの中に、
心のかたはらに、詩の生れる源泉に、
虚無と 純粋な到来との間に、俺は
内在するわが大きさの反響を 待っている、絶えず未来の空洞を 魂の中で高鳴らせる、苦渋に満ちた、陰鬱な、響きの高い貯水槽を。

深い地底の父祖たちよ、住む者も居ない頭よ、
土を掬って盛り掛けた重みの下に、
土と化し、わが歩調も識別し得ない人々よ、
本当に蝕む者、墓虫でないとは証明し切れない蛆虫は、
墓場の石の下に眠る父祖たちの為ではなく、生命を啖って生きて、俺を離れることがない。

いな、いな…… 立ち上がれ。継起する時代の中に。
わが肉体よ、打ち毀せ、この思考する形態を。
わが胸よ、嚥み干せ、風の誕生を。
清新の大気は、海から 湧きあがり、
わが魂を俺に返還する…… おお 塩辛い風の力よ。
さあ 水に駆け込んで 生々として踊り出そう。

そうだ。荒れ狂う昏迷に陥りやすい大海よ、斑点の豹の毛皮よ、太陽の照射の光の
百千々に 千々に 孔を穿つた外套よ、
絶対の水の蛟龍よ、紺碧の己の肉に酔い癡れて、
静寂にも似た 擾乱のさなかに
燦めく蛇尾を 噛んでいる、海よ、今

風 吹き起る…… 生きねばならぬ。一面に
吹き立つ息吹は 本を開き また本を閉じ、
浪は 粉々になって 巌から迸り出る。
飛べ 飛べ 目の眩いた本の頁よ。
打ち砕け、浪よ。欣び躍る水で 打ち砕け、三角の帆の群の漁っていたこの静かな屋根を。
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テーマ : 文学・小説
ジャンル : 小説・文学

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